ノベルちゃん三題


お題「めだか、映像、無口」
 
俺は全能の神。目の前にはめだか。決まった時間に餌をやる。
奴等の育ちは遅くて神は待ちきれず、時間を進める。
育つ、育つ、一時間で一年分育つ。トイレに行って戻ってきたら奴等は腹を上にし浮いていた。
俺は孤独な全能の神。魚と遊ぼうアクアゾーン
 
  
お題「蛇、沈没、間違い探し」
 
「宝物をたくさん乗せた船が沈没してしまいました。
 海賊は長い蛇を使って船をつり上げようとしています。
 この物語で間違っている部分を探しなさい」
勉強するのがいやでさぼりにさぼった成績で受けにきた高校の受験問題。
僕は初めて後悔をした。
 
 
お題「びわ、槍、マカロン」
 
一箱五個入り三千円、あたしには買えないオレンジ色の高級マカロン。
否こんなのはびわ色でいい、だっさい響き、びわ、琵琶色のマカロン!
フォークの槍でぶすぶす刺すとばりばり崩れる琵琶色のマカロン、
彼の彼女が持ってきたやつ、あたしにって。
 
 
お題「玉ねぎ、テープ、転倒」
 
タマネギを手に持ってりんごを剥くように長く長く剥くとタマネギのテープが出来るんですよ、
これがスグレモノで、
大量に剥いて裏返しにしてリビングの入り口にトラップとして敷き詰めれば
入った途端につるんとすべったあと涙が止まらないしもう大変
 
 
お題「雷、靴、憂鬱」
 
たとえば遠雷。音より先に光を見るように、近づいてくる靴音より先に、遠くにいるあなたを見つける。
前にも進めぬほどの人混みの中、一歩、また一歩あなたの姿が近づくごとに、
心は晴れる、長くひとりにされたさみしさを忘れる、漸く靴音が聞こえる。
 
 
お題「早乙女、結果、無理やり」
 
行きたくないのに放り込まれた農村留学、理由は私の素行不良。
強制的にバスに乗せられ旅に出された農村地帯で結局真面目に田植えした。
そして十月実りの季節、お礼の手紙と届いた米、炊いて食べて目を閉じた。
校則違反のピアスを抜いて机に向かう。
 
 
お題「蛍、記憶、唯一」
 
酔ってた、確かに酔ってた。財布がない、時計もない。
唯一記憶にあるのは黒いやつ。黒くて光るやつ。
黒くて光るやつ。黒くて光るやつ。黒くて光るやつ。黒くて光るやつ。
「それ多分ゴキブリ」違うそれじゃない黒くて光るやつ。
 
 
お題「紫陽花、胡椒、標識」
 
紫陽花って食べられるんだって知ってた?
酔った彼が進入禁止の標識に素足でよじ登り上機嫌で言ったのを覚えている。
彼の幼さに飽いて別れを告げ立ち去った帰り道、夜道に見つけた紫陽花を一房もいで歯を立てた。
花と同じ色した青い味、不味さに顔をしかめて呟く、塩胡椒ちょうだい